Aがなぞり絵をしていたのを見て、BとCが「俺の方が上手いし」と同じなぞり絵を描き始めました。「Aのは線がずれてる」「俺のが絶対上手いし」と、絵を描き進めるBとCは、対抗心からなのか興奮して、段々と粗暴な言葉や悪口を口に出していました。さてどこで止めようかな、と様子を伺っていたところ、悪口に耐えられなくなったAが大きな声で泣き出してしまいました。周りはびっくりしたものの、BとCは悪びれることなく、絵を描き続けていました。そのうち、悔しさでしばらく泣き続けるAの様子に、段々と2人はそわそわし始めました。「嫌だったよね」スタッフが寄り添いながら、泣き続けるAに声を掛けます。踏ん切りがつかないAに「泣き止まないとちゃんと話ができないよ」と諭すと、ぴたっと泣き止みました。「どうしてAが泣いていたか2人は分かる?」と聞くと「別に悪くないし」と2人とも意固地になってしまっていました。「自分の絵を悪く言われたら嫌だよ」「自分がされて嫌なことはしないんだよ」と話すと、Bがとりあえずその場をやり過ごそうと、ぶっきらぼうに謝りましたが、それが伝わったのか「ゆるせない」とAが言いました。「ごめんというのは、次からやらないように気を付ける、の意味も入っているんだよ」とBに諭しながら、Aにも「今は許せなくても、後で許せるか考えておいてね」と伝えました。その後、Bが改めてAに謝ると「いいよ、許してあげる」と言ってくれました。そのやり取りを横目で見ていたCは、何事もなかったかのように、「A、絵の続きやろうぜ」と話したもの、「Cは謝ってないから遊ばない」と断られてしまいます。一緒に遊びたいCは、少し迷いながら「さっきはごめん」と謝ることができ、また3人で一緒に絵を描き始めました。
子どもはふざけすぎてしまったり、思わず言いすぎてしまうことがあります。すぐに謝ることができればいいのですが、意地になってしまったり、タイミングを逃してしまうことも良く見られます。うやむやで終わってしまったら、気持ちも晴れないばかりか友達関係が崩れてしまうことにもなりかねません。遊びの中だからこそ再生できるのであり、ひだまりでは、遊びの中でスタッフが間を取り持ち、きちんと解決できるよう心がけています。
「安心して失敗を繰り返す経験」「気持ちの伴った言葉を使う経験」が保障できる遊び環境を整え、子どもたちの成長へつなげていきたいと思っています。
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